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「 青年会誌刊行に寄す 」
  • 金閣寺・銀閣寺住職 有馬 頼底 様

    臨済宗相国寺派管長 金閣寺・銀閣寺住職 有馬 頼底 様

    京都美術青年会創立八十周年を記念し、青年会誌全二十一巻を復刻、出版されると承り誠に同慶の至りと思う。


    まず創刊号を披くと、その発刊の辞に、「我が青年会は、月に日に盛んに一歩一歩よりその基礎を強固になしつつあります云々」とあり、その一歩一歩が今や八十周年を迎えられたのである。創刊当時は、今と違い情報とて乏しい時期であったろうに、青年の理想と情熱をもって事に当られたのであろう。


    編集後記に、「大地に立つ雄の子、その胸は張り、血潮は高鳴る。いま、昇る真紅の太陽にむかい、弓をしぼりて引き放てば、白金の征矢は大気を動かし、暁の碧空に飛ぶ云々」と編集子は述べる。
    些か大時代の美文から、その熱意がうかがえよう。あらためて諸先輩方に敬意を表し、その辛苦を拝察するのである。全刊を通覧すると、正に物に即しての編集であることが窺える。禅では、経論をもちいるよりも、その時、その場の眼前のものをとり上げ、それらを修行の生きた教材として用いて商量することが多い。この本こそ物に即して学ぶことがいかに肝要かということを教えられるのである。


    日本の中心は、今でも京都であると思っているのは私だけではあるまい。その京都には幾多の文化財が収蔵されている。そんな意味で美術に携わる人達にとって、他府県の人たちより最も恵まれた環境にあると言えよう。


    どうかこの刊行を機に、京都美術青年会諸氏の一層の発展を祈念すると共に、この本を一人でも多くの識者諸賢の清覧により、読者諸氏に裨益すること甚だ大ならん事を乞い願い擱筆する。

「 大いなる快挙 」
  • 東京国立博物館名誉館員 林屋 晴三 様

    東京国立博物館名誉館員 林屋 晴三 様

    京都美術青年会八十周年の記念事業として、全二十一巻の「京都美術青年会誌」が復刻、出版されることは、大いなる快挙といわねばならない。


    過日その完成本の贈呈をうけて拝見したが、昭和五年から十六年にかけて(因みに十六年に太平洋戦争が起こる)京都美術青年会がこのような事業を十二年にわたって続けられたことは、京都美術青年会の歴代の方々の、時代の学問に対する共感が爲さしめたものであろうが、やはり学都京都にあって生じた刊行であったといえる。


    昭和十六年で途絶えているのは、まさに大戦争突入のためであったのであろう。その当時の定期刊行古美術研究誌は朝日新聞社による「国華」の他に注目すべきものはさほどなかった。


    京都青年会はそうしたなかにあって一石を投じられたのであり、本記念事業の「刊行にあたって」の言葉に「先人達の美術に対する計りしれない情熱・・・」とあるが、内容を通覧すると情熱に加えて高い見識も加えねばならないであろう。


    この好資料を多くの美術愛好家や研究者の書架に加えてほしいものである。

「 青年会誌復刻出版記念によせて 」
  • 十五代  樂 吉左衞門 様

    十五代 樂 吉左衞門 様

    この度、京都美術青年会は創立八十周年を迎えられ記念出版として「京都美術青年会誌」全二十一巻を復刻出版されたことは誠におめでたく心よりお祝い申し上げます。
    創刊号「日本美術講話 仁清考」から始まる全巻は、大和絵、墨画、障壁画、浮世絵、狩野家、光琳、応挙、呉春・四条派など唐和の絵画を網羅し、名物裂はじめ茶の湯美術など、美術業界の百花繚乱の呈といえる。


    その中、第九巻に「樂焼研究」が収録されている。実はこの本は私が子供の頃から些かなじみのあるものであった。それは、父十四代覚入が自身の印匣と共に座右に置いていたもので、已に表紙も破れて欠損しているが父は何かある度に、その本を開いてなにやら確かめていたのを子供心におぼえていた。
    今私も同じように父の印匣を譲り受け、同じようにこの第九巻「樂焼研究」を付して持っている。父はこの本で「左入二百」や宗入の「癸巳茶碗」の銘を確認していた。
    茶の湯の研究書などまだない時代に、本書はまさに便利有用な参考書であったが、父はそこに様々なメモを自ら書き加え、まるで研究メモの呈となっている。
    本書には十三代惺入の文章も寄稿されているところをみれば、惺入が監修したのであろうか、惺入が編纂した「茶道せせらぎ」でも紐解かねば出てこない「左入二百」や「癸巳茶碗」の銘をはじめとした内容は、専門的な参考資料としても充分な内容をもっている。私はこの会誌が二十一巻にも及び、「樂焼研究」をしのぐ内容の各巻が目白押しに出版されているのを今回初めて知った。
    それぞれの巻に寄稿されている先生方はいずれも名を世にとどろかした方々である。よくぞこれだけの内容ある研究誌を美術青年会の方々が本にまとめ出版されたものと、当時の方々の研究向上心、熱意と努力に驚嘆すると共に、深い敬意の念を禁じ得ないのである。


    翻って、現代の我々は「昔の方はえらかった」と感嘆ばかりしていられない。今始まったばかりのこの難しい時代に、未来を開くのは地道な日常の努力であろうか。 今回京都美術青年会の皆さんがこの「会誌」を復刻されることは、未来の美術界を切り開く決意の表れと私には受け取れる。一つ一つの再読校正に至るまでの努力は必ず実を結ぶ契機を蓄えるだろうと期待され頼もしく嬉しいことである。私もじっくりとその偉業を拝読勉強させて頂こうと思う。